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SoL Global Forum in Oman

今週はオマーンにて、SoL (Society for Organizational Learning)の第3回グローバルフォーラムに参加し、4日間のプログラムが今、幕を閉じた。

これに参加しようと思った理由のひとつが、場所がオマーンだということ。行ったことのない国だし、これから行く機会もなかなかなさそう。それに、組織開発やSoLが唱えているようなことが中東でどのように受け入れられるのかにも興味があったから。(あとで、この自分の好奇心がいかに次元の低いものであったかを実感した)

来てみて、期待を上回る参加者の多様性にまず感激。SoLはアメリカ発の団体だけど、このフォーラムは、アラブ人4割、ヨーロッパ人4割、その他(アメリカ、アジア、オーストラリア、アフリカなど)2割といった構成。参加人数は総勢250名ぐらいか。そして、対話を提唱するSoLのフォーラムであるゆえに、当然のこと、実に多くの人たちと対話をする仕掛けがたくさん盛り込まれていた。様々な民族からなる老若男女が、ビジネス・政府・NGO・教育などの分野をまたがって、世界をよりよくするために何ができるか話し合うのは新鮮だった。

SoLの年次大会では、物見遊山的な人やSoLの趣旨を理解しない勘違いの参加者もいたと聞いたが、このグローバルフォーラムは、そのような人は皆無。皆、「学習する組織」に精通していて、持続的で健全な世界を作ることにコミットしていて、対話のエキスパート。したがって、相手がアラブの民族衣装をまとったおじさんだったとしても、すぐ対話が始まり深まり、話しやすい。ピーター・センゲさんも、小グループ討議などに参加する(初日に同じグループになった)のだが、「参加者の一人」にしか過ぎない雰囲気。もっとも、フォーラムの最後に締めくくりのスピーチをしたときは迫力があったが。

グラミン銀行創設でノーベル章を受賞したユヌスさんも参加する予定だったが、ビデオ出演に変更になったのは残念だった。しかし、ビデオ出演だけでも、彼のメッセージはものすごくパワフルだ。また、ユヌスさんほど有名でなくても、貧困問題や環境問題、世界紛争などに対して自分たちなりに解決策を見つけ活動し成果を上げている人が、たくさん来ていた。

飲み物やお菓子がふんだんに用意され、エアコンのきいた会議室で、世界の貧困問題を語っていると、ときたま空しさが頭をかすめる。あるアメリカ人が突然「抽象論を議論していても意味がない。今日はランチを食べずに、餓えがどんなものであるか体感しようではないか」と呼びかけた。すかさずオマーン人が立ち上がり「我々は断食の習慣があるから、それは必要ない。そんなことより大切なのは支援する気持ちなのだ」と言ったのは、なんとも面白く、自分の中の空しさを打ち消すのに役立った。また別の人がこんなことを語った。「あるとき、ある人から皮肉をこめて『さて、議論して問題は解決できそうかい?』と聞かれたことがある。その人に『解決するのは難しそうだ。でも問題について議論をした人は、していない人より、問題に対する認識が深まったのは紛れもない』と教えてあげた。」

そうなのだ。エアコンのきいた部屋にいることを、貧困問題を考えない言い訳にしてはいけないのだ。

なお、オマーンという国は、美しく穏やかで、居心地がよい。明日は、狂乱(?)の都市、ドバイに移動する。
by peoplefocus | 2008-04-17 03:43
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