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ブータン負の側面

前回は、ブータンという国の素晴らしさを書きましたが、今日は負の側面に触れたいと思います。

90年代初頭に、ブータン政府が民族主義政策をとった結果、10万人ものヒンズー教徒ネパール系ブータン人が国籍を失うこととなりました。(ブータン主流派は仏教徒) 彼らは、抗議運動を起こし政府と対立し、難民と化し、ネパールに逃げ込みました。そして、15年近くたった今もなお、10万人の人々はブータンに帰れず、ネパール内の難民キャンプで暮らしています。

私の親友の根本かおるは、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のダマク事務所の所長として、この難民キャンプの支援にあたっています。彼女は、コソボや、アフリカの奥地などの現場を渡り歩いてきた難民問題のベテランですが、ネパール国内は4月まで内紛状態にあり、身の危険を感じる毎日だったといいます。ゲリラによる爆発音を耳にしながら、難民の救済にあたる彼女の勇気と使命感には、本当に頭が下がります。

彼女が、時々、現地の様子を知らせてくれますが、その中には、例えばこんな報告もありました。

「5-10万円という非常に小さな額で測り知れない効果がある支援が実施できるのですが、緊縮財政のためにそれができなくなっています。たとえば、女の子たちへの下着。特に貧しい難民の家庭では娘に下着を買ってやれず、下着が無いために学校に行けない、あるいは汚してしまったときの替えが無くて学校を休みがちになってしまうという女の子が多く見受けられます。難民キャンプで起こりがちな性暴力を未然に防ぐという観点からも、「下着をつける」ということは非常に大切なのですが、そうした初歩的な支援も実施できないでいます。」

ブータンは、何年か前まで鎖国状態にあり、ブータンという国の存在を知らない人は少なくないと思いますが、最近は、観光先として人気を集めつつあり、テレビで取り上げられる回数も増え、知名度があがってきています。
しかし、10万人ものブータンの難民が苦しんでいることを知る人は、どれほどいるでしょうか。
私自身も、友人が赴任していなかったら、知らないままだったでしょう。

地球をより良くしていくために、私たちはどのように情報を仕入れ、何に問題意識を感じ、どのようなアクションを起こしていけばいいのでしょうか。

ブータン難民の情報と支援についてはこちらhttp://www.japanforunhcr.org/fund/fund_chad8.html
by peoplefocus | 2006-05-29 00:14
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